TENDER Co./B&S Special Rib Hem T-Shirt “Kafka”をお買い上げ頂きました皆様へ。
本日は、当店が販売した商品につきましてお詫びがあります。
2015年6月に販売した当店の別注商品TENDER Co.のRib Hem T-Shirt “Kafka”につきまして、とある店舗で販売されるというあり得ない事態が発生しました。
この企画は2015年2月にテンダーのウイリアムとのミーティングにより決定した商品です。
その際にウチがお願いしたのが、テンダーの1stコレクション(2010年AW)にラインナップされていたDorrit Dekk氏のイラストがプリントされたティーシャツを復刻してほしいという内容でした。当時は日本でテンダーの取扱いがなく、一部の海外のSHOPでしか買えなかったんです。
そのシーズンのルックブックでウイリアムが着ていたのが、WoadでオーバーダイしたType900のデニムジャケットにType132のデニムパンツ、そしてDorrit Dekk氏のイラストが入ったティーシャツ。ちょーシンプルだけど、なんか、すげーかっこよかった。
どうしても、あのティーシャツが着たい。
という思いをウイリアムにぶつけたところ、2014年にDorrit Dekk氏が他界した事を受け、memorialとして1型だけならOK、当店とテンダーのウェブサイト(TENDER Co. STORES)のみで販売しようということになりました。
その商品を私たちは時間をかけてお客様にお伝えし、多くのお客様にお求め頂きました。なのに、このような事になり大変申し訳ありません。
他店に入荷していると数名のお客様よりご指摘、お叱りを頂き、急ぎ代理店に確認をしたところ、その店からの追加オーダーの中にウチの別注商品が発注(客注のようです)されており、発送担当者がそれに気がつかないというイージーミスが発生し、テンダーのウェブサイトの在庫を送ってしまった事が判明しました。
代理店に強く抗議し販売を止めてもらいましたが、数日前にその店のブログ、通販サイトに掲載されており、既に購入されたお客様もおられるかもしれません。また、当店にしかないという点に魅力を感じてご購入頂いたお客様は大変不快にお感じになられたと思います。
そしてウイリアムとのミーティングも、これをどうしてやりたかったのかという私たちの想いも、全てが安っぽく、意味のないものにされてしまった様で本当に悲しかった。
この商品を検索すれば当店がヒットするので、分からないはずがありません。
これまでにも同業者によるリサーチは絶えず、悔しい思いは尽きませんでしたが、ご覧頂ける事を前向きに受け止め、当ブログで具体的な指摘は控えてきました。
ですが、今回のはNGです。
何度も何度も考えました。
でも、このまま沈黙を続けていたら、ナシがアリになってしまう。
悪き慣習になり、大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、この業界のモラルが崩壊しちゃう。いや、洋服業界なんかよりも買って下さったお客様の気持ちはどうなる?
他店の別注商品を知らない振りして売るって、私だったら絶対にイヤだな。だって、別注って店の個性だし、何よりその店のお客様のものだから。そもそも趣旨が全然違う。
ここ数年、セレクトショップに対する不信感が募っておられるお客様を沢山見て来ました。
それでも洋服が大好きでようやく当店に辿り着いて下さったお客様に、一つ一つご説明をさせて頂き、出来るだけ正しい情報をお伝えし安心してお買い物をして頂けるように努めています。やっぱり洋服って楽しいよねって思ってほしいし。
だから、他店でおもしろい商品を見つけた時には「やられたー」という悔しさと、「やるなー」という尊敬がありこそすれ、「ウチもこれをやっちゃえ」という愚かな発想にはどうしても至りません。
当然です。それはその店のものだからです。
誰かのアイデアに刺激を受けることと、それを模倣することとは全く違うのです。
でも現状はどうでしょうか?
新しい物は簡単に模倣され、模倣した側はオリジナルのように振舞い、そこに後ろめたさは微塵もありません。
私たちは思うのです。
これで得をしているのは誰だ?と。
買って下さったお客様のことを少しでも考えてやっているのか?と。
長文失礼しました。
改めまして、この度は当店の力が及ばずこのような事となり、本当に申し訳ありませんでした。
また、今回の件をお知らせ下さった皆様、有り難うございました。
私たちは小さな小さな店ですが、これからもこれまで同様、柔らかな偏見を忘れずに匍匐前進して参ります。
今後とも宜しくお願い致します。
最後に一言。
「志」のない知恵は、翼のない鳥に等しい。
〜サルバドールダリ〜